左足甲の痛みの原因は

・30キロ走の翌日から左足甲の痛み

・安静時は痛み無し

・当初は歩行、走行で痛みあり

・2-3日で、痛みを感じるのは走行時のみに

・着地の時に痛みます。

・座っている状態では足関節を背屈すると痛み有り

・腫脹や発赤、熱感、圧痛なし

これらの情報から痛み部位の診断を進めます。

安静時の痛みがなく、足背の一部に痛みが限局しており、デルマトームとも関係がないので椎間板ヘルニアなどの神経を圧迫して痛みの生じる疾患は否定的です。

デルマトームとは、皮膚知覚帯ともよばれます。

例えば左L5の神経が圧迫される場合は足背のほか、下腿外側~前面にも感覚の異常(痛み)が生じるはずです。

ちなみにC:頚髄、T:胸髄、L:腰髄です。

次に骨折の可能性についてです。

確かに30キロ走のあとから痛みが出ているので、疲労骨折またはその一歩手前などは考慮しなくてはいけないと思います。

しかし圧痛がなく、しかも足関節背屈時に痛みがあり、底屈では痛みがないこと、痛みの程度もそこまで大きくはないことから骨折もなさそうです。

ちなみにランニングで疲労骨折が起こりやすいのは脛骨や中足骨だそうで、部位的にはありえるかもしれません。

http://www.yspc-ysmc.jp/ysmc/column/bk2011/column_6-2011-4.html より

従って問題は筋肉や腱ということになります。

基本的には足背にはこれといった筋肉はなさそうで、足関節を背屈させる筋肉の腱が足の甲を通っています。

これが前脛骨筋(腱)です。

おそらく筋炎や腱炎の場合はもっと炎症の程度や痛みが大きいと考えられたので診断は、、前脛骨筋の腱鞘炎です。

↓こちらの画像を参照。

診断を裏付けるように、治っていく過程で足関節背屈の際に足の甲の皮下で「ぐにゅ」という抵抗を感じるようになりました。

これは腱鞘炎の治癒過程で腱鞘に抵抗が増していたためかと推察しています。

以上の見解はあくまで私見であり、もし別の可能性についてご意見のある方がおられたらぜひメッセージをいただきたいです。

前脛骨筋腱鞘炎の原因

何かを変えた、負荷をかけすぎたのが原因として考えやすいです。

心当たりはZOOM FLY 3。

ターサーに比べてぶかぶかで、靴紐をかなりきつめに締めて走っていました。

これが足背の刺激になって腱鞘炎が生じたと考えています。

前脛骨筋腱鞘炎に関しての論文は見当たりませんでした。

ネットでは’靴紐 腱鞘炎’で検索すると靴紐がきつすぎると長母趾伸筋腱または前脛骨腱の腱鞘炎になるという意見が見られ、私も同意見です。

対処とその結果

故障の対応の原則は安静・ノートレです。

診断がなんであれ、基本的な対応は同じです。

痛みの出ない範囲で活動を心がけました。

もちろん加古川マラソンはDNS(Do Not Start)です。

マラソン当日には痛みはかなり引いていて、ゆっくりなら走るのは可能になっていました。

おそらく完走はできたと思います。

しかし、痛みがなくなっていることは完治を意味するのではありません。

痛みがなくなり、その後数週間かけて組織が修復されることによって完治するのです。

痛みが引いてすぐに無理すると腱鞘炎が再発するのは目に見えています。

ここは絶対に無理してはいけない、思い切りが大事なところと判断して、痛みが4日続いた、マラソン5日前にDNSを決断しました。

先のツイートのとおり、足を休めた結果、発症から2-3日で歩行時の痛みがなくなりました。

発症から8日でjogを再開できました。

少しずつ負荷を増やして、痛みは再発しませんでした。

マラソンに出られなかったことは残念でしたが、故障の前段階で原因を突き止めて進行を食い止め、早い段階でトレーニングを再開できました。

これは以前 https://shiro-tora.com/himejimarason2020-4/ で私が述べた通りです。

その後の結果をみても、ここで被害を最小限に食い止められてよかったと思います。

次につなげるためのDNSなのでそんなに失意でもないですね。

再発予防

シューズのサイズが合わずにぶかぶか

→靴紐きつくしめすぎた

→腱鞘炎

というのが今回の流れです。

同様のことが生じないようにするために靴紐をしめすぎないようにする必要があります。

靴紐のしめ方の強さとしては足の甲に紐が緩く乗っかっている、紐と足の甲の隙間に小指がかろうじて入るくらいが丁度かなと考えています。

そして、シューズ購入の際にフィッティングをしっかりしておくことも重要です。

シューズフィッティングについてはネットで見つけたのを色々試してみましたが、自分的にはかかとトントン法がよいと思います。

以下の方法はランニングシューズだけでなく、他のシューズフィッティングでも応用できるかもしれません。

・靴を履いて丁度よい強さで靴紐を結ぶ。

・つま先を持ち上げて踵を地面でトントン、足をシューズ内の一番後方へもってきます。

・その状態で第一趾(足の親指)の前に1~1.5cm(手の人差し指の幅の長さの半分から1本くらい)隙間があればOK。

http://ashinoonayami.com/2017/03/1308/ より

・第一趾の前方に隙間がなかったり、一横指(人差し指の幅)よりも長い隙間があればサイズを替えた方がよさそうです。

↑これは隙間が空きすぎです

・足をつま先に合せると、踵に手の人差し指が入るか入らないかぐらいでしょうか。

きつすぎても、緩すぎても気持ちよく走ることができません。

足の形は1 エジプト型、2 ローマ型、3 ギリシャ型、4 ドイツ型、5 ケルト型があると言われています。

日本人ではエジプト型 65-70%、ローマ型 5-10%、ギリシャ型 15-20%と言われており、私はエジプト型。 

どの足形でもまずは親指でサイズを合せることが重要です。

エジプトは親指大事に。

ギリシャは比較的シューズ合せやすい。

ローマは小指がつぶれないように、シューズの幅も大事、とのことです。

同じメーカーで同じサイズでも、シューズの種類が異なるとサイズ感が異なります。

今回私が履いたZOOM FLYとこの後私が履くVAPORFLYはどちらもNIKEの27.0cmでした。

ZFは結局ぶかぶかで合わず、その一方でVFはパフォーマンスを発揮しました。

ちなみにASICSのTTARTHERZEALは26.5cmです。

こちらは日本人の足に合わせてwideバージョンもあります。

とにかくシューズのフィッティンングって思ったより大事だったんです。

サイズがしっかり合った靴を見つけたなら、1足目をはきつぶした後の同じ種類の2足目、3足目を選ぶ際に、サイズで迷うことはありません。

迷わずに何かを決定できることはすごく効率のよいことです。

まとめ

・前脛骨筋腱の腱鞘炎で全治1週間だったよ。

・加古川マラソンはDNS。

・原因はシューズのサイズが合わずに靴紐をきつくしめていたこと。

・シューズ紐のしめすぎには注意。

・シューズフィッティングめっちゃ大事だよ。

・足の形に応じた、いい感じのランニングシューズをみつけましょう。

著者

シロスケ

人生100年時代を皆さんと健康に楽しく生きるシロスケのブログです。 脳神経外科専門医、脊髄外科学会認定医、大阪在住、2児の父、昭和60年生、2019年10月から本格的にマラソン、トライアスロンのトレーニングを開始。 目標はマラソンサブスリーとIronman World Championship出場です。

コメントを残す