シロスケ、マスクやめたのに、みんなしてる

こんにちは

久しぶりのブログ更新です。

前回のシロスケ、マスクやめるってよ、から1ヶ月あまり経過してしまいました。

前回の記事で述べた私の考えは

・3密「密閉・密集・密接」を避けるのがコロナウイルス感染予防では何より重要

・特に屋外ではマスクの効果は乏しい

・マスクにウイルスがついたら一般人の感染対策ではコロナウイルスの感染から逃れられないのではないか

というものでした。

その考えは特に変っていませんし、考えを変えなければいけないような出来事は生じていません。

そして依然として屋外ではマスクは装着していません。

もちろん医療の仕事の時は装着しています。

マスクの効果に関して下記を紹介しておきます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200123-00159958/

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200426-00175324/

ただし、論文はインフルエンザのものしかありません

感染後の経過は異なるものの、コロナウイルスの感染様式はインフルエンザと似ているため、マスクの効果に関してもインフルエンザとコロナでは同等ではないかと予想しています。

はやりのバフクラン

ところが、TwitterやTV界隈では

「ウォーキング・ランニング・自転車のエチケットとしてマスクラン・buffランを」

「ランナーやサイクリストが口を覆っていないのはけしからん」

「前や後ろからマスク無しで息をしている人が近づいてくると怖い」

という意見がかなり多く見受られるようになってきました。

私が普段走っている大阪城公園や淀川河川敷でもウォーキングの人はほとんどマスク。

ランナーも半分以上の方がマスクまたはbuffを装着しています。

これについては「いやいやいやそこまでしなくても、、、」と考えていました。

しかし、マスクでもなんでも着けたい人はご自由にどうぞ、という考えもあり、静観していました。

近頃になって、そうでもない考えのツイートをされるかたが少し見受けられるようになりました。

ランナーに抱かれている、またランナーが抱いている不要な恐怖心・警戒心を解けないものかという考えに至り、バフクランについて述べることにしました。

私には誰かを攻撃したり、貶めたいという気持ちはなく、このような状勢で不安を感じている方のお役に少しでも立つことができればという気持ちでこの文章を書いています。

バフクランかバスクランで悩ましいところですが、バスクはスペインの自治州で、バフクはイランの地名だそうです。

とりあえずどちらでもよいと考えています。

バスクランの火付け役はこの人、、!?

動画での山中教授の主張

要約

・コロナウイルス感染者の中に無症状の人がいる

・無症状感染者が走っている場合ウイルスをまき散らす

・ウイルスをまき散らさないためにマスク、buffをエチケットとして使用しましょう

山中教授のブログ

https://www.covid19-yamanaka.com/

「走る時は、10メートルくらい離れないと感染の危険があるという報告もあります」

結論から言うと、読む人に大きな誤解を与えることが予想されるので、この記述は適当ではありません。

その理由を後に述べます

10mの根拠の発表をブログで紹介

Towards aerodynamically equivalent COVID-19 1.5 m social distancing for walking and running

http://www.urbanphysics.net/COVID19_Aero_Paper.pdf

論文の要約

・ランナーの呼気の飛沫の動きをCFD simulation して解析

列をなす場合はウォーキングで4-5m、ランニングとゆるい自転車で10m、速い自転車で20mの間隔をあけないとスリップストリームにいる人に飛沫がかかる

横並び、斜めの人にはかからない(下図参照)

この発表はまだpreprintの段階ですから、査読を受けていません。

正しい部分もあるかもしれませんが、何か意見を述べるための根拠とするには危険です。

実際にこの発表者がウイルスや感染症に詳しくない証拠として、発表の1行目に「COVID-19 virus」という文言があります。

そのようなウイルスは存在しません。

SARS-CoV-2 というウイルスの感染によりCOVID-19という感染症が生じます。

私が言いたいのは1行目から適切でない言葉の使い方をしている発表ということ。

さらに、この発表が正しいと仮定したとして、ランナーから10m離れなければ飛沫がかかる人の条件は

・屋外の無風で

・ランナーの真後ろを

・同じ進行方向、14.4km/h(キロ4分くらい)で

・一定の時間走り続けている

そんな人です。

また、この論文は飛沫についてのみ述べており、この飛沫がどれくらいふりかかると感染するとか、何分くらいslipstreamに入っていると感染が生じるかなどについては一切言及していません。

この発表の結論として導かれるのは

「キロ4分くらいで走る前の人の真後ろを追いかけていくランナーは、10m離れていないと飛沫がかかり続けるかもしれない」

ということです。

「走る時は、10メートルくらい離れないと感染の危険があるという報告もあります」

だけでは嘘はついていませんが、読む人に誤解を与えかねない記述です。

というか、この記述により誤解が生じています。

論文などに普段触れることがない方がこれを紹介されて思うこととして

1、「ランナー、サイクリストからすごい距離まで飛沫がとんでいる」

2、「飛沫の中にウイルス入っている可能性がゼロじゃない」

3、「ランナー、サイクリストが飛沫をばらまいて感染させるリスクがある、10m以上離れる必要がある」

こうして、このような理論を持つ方が増えたのではないでしょうか。

実際にフジテレビの特集ではこのように紹介されています。

これを視聴した、この方の感じ方は全く正常と思います。

屋内で飛沫がどれぐらい飛ぶ、どれぐらい空中にとどまる、という検証はされていました。

10mの発表についてはなんの科学的な検証もされないままテロップのみで表示しています。

本当にテレビが担うべき役割は、その情報の真偽や信頼性を客観的に評価して視聴者に伝えることせあってほしいと思います

ですが、まあ実際はこんな感じです。

昔からです。

この事柄に関してではないと思いますが、一緒にトライアスロンのレースに出たことのある、友人のけいゆう先生もこのようにツイートしています。

反論があれば、、、

もし、ランナーが感染の原因になっていると考える方がおられるなら、スリップストリームから実際にコロナウイルスに感染した事例を挙げる必要があります。

これは個人的な意見ですが、未だに屋外での活動が感染の温床になったという報告はなく、屋外では必要以上に密集しなければコロナウイルスの感染のリスクは0に近いレベルで低いものと私は考えています。

これもどこにも根拠となるような論文がないので個人の意見になりますが、バスク無しランナーとのすれ違いや追い抜きでのコロナウイルス感染のリスクもまた低そうです。

屋内での濃厚接触の感染率が100%でもないのに、屋内で一瞬すれ違ったときに感染するとは考えにくいです。

以上の個人の意見についてはこれを覆すような事例があれば、謝罪と共にいつでも意見を撤回させていただきます。

今回のまとめ

科学的な考察

1列でサイクリングやランするならslipstreamの人に前の人からの飛沫がかかり続けるけど、前の人がコロナウイルス持っていた場合の感染性については不明

ランナーからとにかく10m以上はなれるべきという意見は明らかに間違い

確固たる根拠もないのに人にバスクランを強要するような姿勢はこれも間違い

個人的な意見

・コロナウイルス感染防御における屋外でのマスクの効果は不明(ホントは屋内でも)

・屋外では飛沫はすぐに拡散する

・屋外でコロナウイルス感染が蔓延した報告はない

・屋外で3密を避けた活動ではウイルス感染のリスクはめっちゃ低い

情報が誤って伝わってしまったことで生じた、ランナーへの不必要な恐怖を少しでも薄められたでしょうか。。。

シロスケは実際にバスクランするんか、どーなのか、という話は次回お伝えさせていただきます。

緊急事態も延長するようですし、おそらく政府は生活上の注意のガイドラインを準備しているはずです。

ランニングに関して、そこでビシッと科学的にやってほしいですが、期待はしていません。。。

著者

シロスケ

人生100年時代を皆さんと健康に楽しく生きるシロスケのブログです。 脳神経外科専門医、脊髄外科学会認定医、大阪在住、2児の父、昭和60年生、2019年10月から本格的にマラソン、トライアスロンのトレーニングを開始。 目標はマラソンサブスリーとIronman World Championship出場です。

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